熱交換器解析の検証

オンライン熱解析ツールCATTHMで行なった熱交換器の解析結果と理論解を比較してみます。

検証モデル

熱交換器は、高温流体と低温流体の間で熱の移動を行ない、高温流体を冷却したり、低温流体を加熱したりする機器です。

ここでは、高温流体と低温流体の流れる方向が逆向きの向流型、流れる方向が同じである並流型で検証を行ってみます。

熱交換器

流体は高温側、低温側でそれぞれ別の配管を流れ、2つの配管の間で熱のやり取りを行ないます。

高温流体は質量流量 0.15 kg/s、比熱 2000 J/(kg K)とし、低温流体は質量流量 0.1 kg/s、比熱 4200 J/(kg K)で流れています。それぞれの配管は、伝熱面積 1 m2 で接しており、熱通過率は 500 W/(m2 K)で一定とします。

解析モデル

流体の流れは流体抵抗網法で計算し、熱回路網法との連成により、熱交換器をモデル化します。

ひとつの流体配管は9分割し、流体ノードを設置します。そして、もう一方の配管と熱ノードを介して熱抵抗で接続します。

計算に使用した熱流体回路は以下のようなモデルです。

熱交換器の熱流体回路モデル

理論解

この熱交換器では、温度分布の理論解を求めることができます。

高温側と低温側流体の温度差$\Delta T$は、高温流体の入口側の温度差を$\Delta T_1$とすると、伝熱面積$A$の位置(高温流体入口側からの面積)で、

$$\Delta T = \Delta T_1 e^{-D K A}$$

と書けます。ここで、$K$は熱通過率で、$D$は、

$$D=\frac{1}{G_H Cp_H}  \pm \frac{1}{G_C Cp_C}$$

です。$G$:質量流量、$Cp$:比熱、添え字Hは高温側、Cは低温側、+は並流、ーは向流を表します。

参考文献: 北山直方. 伝熱工学の学び方. オーム社, 1982

検証結果

向流型熱交換器の結果を示します。高温流体の入り口温度は100℃、低温流体の出口温度は60℃の条件です。

向流型熱交換器の温度結果

グラフは、高温側入り口が横軸の0となるような温度分布を示しています。高温側から低温側に熱が移動し、高温側流体は徐々に温度が低下し、低温側流体は逆に温度が上昇しながら流れます。

流体回路のノードは9個ほどしかとっていませんが、CATTHMの計算結果は理論解とだいたい一致した結果になっています。

並流型の結果も示します。高温流体の入り口温度は100℃、低温流体の入口温度は20℃です。

並流型熱交換器の温度結果

こちらも、理論解をトレースできている結果となりました。

比較的単純に熱流体回路網法でモデル化でき、計算時間もかからず一瞬で計算できるので、ぜひCATTHMを使ってみてください。

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