※Canteraバージョン:3.0.0
Canteraでは、壁面からの熱の出入りを考慮した壁面熱伝達をモデル化することができる。
検証のためプラグフロー反応器のモデルに壁面熱伝達を加えてみる。
反応器にWallを設定し、外部領域OuterのReservoirと接続する。Wallには熱伝達率 $h$ を指定することができる。これで、外部と反応器内部の温度差に従って出入りする熱流束 $q$ が計算される。(熱流束を直接指定することもできる。)
$$ q = h ( T_{out} - T) $$
計算プログラム
以下のプラグフロー反応器のモデルにWallを追加する。
Tout = 100.0 + 273.15 # outer temperature [K]
area_wall = math.pi * 0.1 * length # heat transfer wall area [m2]
ht = 50.0 # heat transfer coef. [W/m2/K]
外部温度Tout、壁の面積(系全体)area_wall、熱伝達率htを設定する。
gas.TPX = Tout, p, comp
outer = ct.Reservoir(gas)
wall = ct.Wall(outer, r, U=ht)
wall.area = area_wall / n_reactor
外部領域のReservoirをouterとして定義する。
壁のWallをwallとして定義する。outer(外部領域)とr(反応器)を接続し、熱伝達率はUに設定している。(熱流束を直接指定する場合は、Qに設定する。)
検証計算
直径0.1m、長さ2mの円管に、入口温度20℃の空気(密度1.2kg/m3、比熱1009.34J/kg/K)を1.0m/sで流したときの温度分布を計算した。管外の温度は100℃、熱伝達率50W/m2/Kとしたときの結果を示す。
ちゃんと理論解どおりになっている。