空気齢を計算する

はじめに

オンラインの流体解析ツールCATCFDzeroで空気齢を計算してみます。

空気齢

空気齢とは領域に入ってきた空気がどれだけの時間である地点に到達するかを示す指標です。

以下の輸送方程式で計算できます。

$$ \frac{\partial \rho C}{\partial t} + \frac{\partial}{\partial x_j}(\rho u_j C) = q$$

ここで、$q$ は空間で一様なソース項。

今、$q = \rho$ と置き、解析空間の入口で $C = 0$ で流入する境界条件を与えると、計算された $C$ の結果が空気齢となります。ある場所の $C$ の大きさが、入口からその場所に到達するまでの時間を表します。

空気齢の説明

空気齢が小さいと入口からの到達時間が短く、よどみがあるような場所では空気齢が大きくなります。

設定

CATCFDzeroでは、拡張機能で空気齢の計算を行います。詳細設定タブ>拡張機能>E6 に 1 または 2 を入力します(1 は対流のみ考慮、2 は乱流拡散も考慮)。

空気齢は温度計算の機能を使用して計算されます。あらかじめ、温度計算のスイッチを入れておいてください。流入境界条件の温度の値は 0 としておきます。

ここでは、下図のような室内の計算を行ってみます。

空気齢解析の境界条件

左側に2つ入口があり、右上に出口があります。

計算結果

速度ベクトルの結果です。左側の2つの入口から入った流れが右上の出口へ向かって流れています。

空気齢解析の速度ベクトル

右下には渦があり流れがあまり行かない領域があります。

次に、空気齢のコンター図(温度で表示できます)を流線と一緒に表示します。

空気齢解析のコンターと流線

入口からの流れが直接出口へ向かう場所では空気齢は小さく、右下の渦のようによどんでいる場所では空気齢が大きくなっていることがわかります。この場合、空気齢の大きさは、その地点での入口からの到達時間[s]を表しています。

室内の気流解析を行った場合、この空気齢の大小により効率的に換気ができているかを評価したり、新鮮な空気が到達しにくい場所を把握したりすることができます。

まとめ

CATCFDzeroで空気齢の計算を行ってみました。空気齢は室内気流解析の評価指標としてよく使われます。

CATCFDzeroでは簡単にこれらの解析ができるので、ぜひ使ってみてください。

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