オンライン流体解析CATCFDzeroのTips集のページです。
目次
ソース項
熱流体解析では運動量や熱のソース項(生成項)を指定することがあります。
流れであれば運動量のソース項を与えることで、ある場所に流れが起こります。例えばファンなどを模擬したい場合、ファンの形状を真面目に作って計算すると大変なので、運動量にソースを与え簡易的にファンをモデル化することができます。
熱であれば温度の方程式に熱ソースを与えることで、部品の発熱などをモデル化することができます。
CATCFDzeroでは速度(運動量)と温度(熱)、拡散物質に対してソース項 $S_c$ を与えることができます。
ソース項は単位体積あたりの量として与えます。運動量であれば [N/m3]、熱は [W/m3]、拡散物質は[kg/(m3 s)] の単位です。
※v4.5.1までは陰的な生成項も考慮していましたが、v4.5.2以降は陽的な一定の生成項のみ設定できます。
ソース項の設定方法
運動量のソース項
図の赤線で囲んだ領域にy方向の運動量ソースを与えてみます。

この領域の座標はx = 0.4 ~ 0.6m、y = 0.3 ~ 0.5mです。ここに、10 N/m3のソース項を与えて、ファンを模擬してみます。
上下の境界条件は圧力境界として流れの出入りは自由です。
ソースの設定は、[詳細設定]の[拡張機能]の[E2]に

と入力します。
Uy, xmin, xmax, ymin, ymax, Sc
の書式です。最初の「Uy」はy方向の運動量を表し、x方向であれば「Ux」とします。次にx、yの範囲を与え、最後にソース項Scを入力します。
結果は

のようになり、ソースを与えた領域から流れが生成されていることがわかります。
熱のソース項
次に赤枠の領域に発熱のソースを与えてみます。

領域のサイズは運動量のときと同じです。発熱量は1000 W/m3とします。まわりの境界は熱伝達境界(20℃、5 W/(m2K))で、熱伝導率0.2 W/(mK)で熱伝導解析を行います。
ソース項の設定は次のようになります。

熱の場合は
T, xmin, xmax, ymin, ymax, Sc
を入力し、最初を「T」とします。
温度の結果は、

となり、ソースを与えた領域が発熱し温度が高くなっている様子がわかります。
拡散物質のソース項
拡散物質のソース項は、同じく
C, xmin, xmax, ymin, ymax, Sc
と、最初を「C」として入力します。Scの単位は[kg/(m3 s)]。