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多孔質媒体
多孔質媒体とは物体に小さな穴がたくさん空いたスポンジのような構造をしています。フィルターや消音材、断熱材など様々な用途で使われています。
この媒体を流体が通過すると圧力損失が生じます。この圧力損失を模擬するために、流体解析では運動量にソース項を与える多孔質媒体モデルの機能が備わっています。
CATCFDzeroでは次式のDarcy-Forchheimer則の抵抗を与えることができます。
$$S=-(\mu K_v+0.5 \rho |U| K_i) U \tag{1}$$
$S$:運動量ソース、$\mu$:粘性係数、$\rho$:密度、$U$:速度、$K_v$ :粘性項の係数、$K_i$:慣性項の係数
与えた係数から圧力損失が計算できる、以下の記事も参照ください。
多孔質媒体の設定方法
ここでは次のような幅x =1m、高さy = 0.2mの領域を左から1m/sで流体が流れるモデルを考えます。
この流路のx = 0.4~0.6mの領域に、$K_v$ = 1e6、$K_i$ = 0の多孔質媒体が入っているとします。
流体の物性値は、密度1kg/m3、粘性係数1e-5 Pa sとします。
この場合、圧力損失$\Delta P$は多孔質媒体の幅を$L$とすると、
$$\frac{\Delta P}{L} = \mu K_v U \tag{2}$$
より、 $\Delta P$ = 2 Paと計算できます。
CATCFDzeroでは多孔質媒体の設定は、[詳細設定]の[拡張機能]で行います。この[E4]に、
xmin, xmax, ymin, ymax, Kvx, Kvy, Kix, Kiy
の値を入力します。x、yの最小最大で多孔質媒体が入る領域を指定し、Kv、Kiのx、y成分を指定します。今回のモデルでは次のように与えます。
これで計算をすると、圧力コンターの計算結果は
のようになります。また領域のx方向の圧力分布をグラフにすると、
となり、圧力損失が理論値の2Paになっていることがわかります。