CAE解析エンジニアの引出し

先日CAE解析エンジニアに必要なものについて書いたのですが、その時に解析エンジニアには知識と経験の引出しの多さが必要と書きました。しかし、限られた分野や企業で狭い範囲の解析ばかりしていると、引出しは増えていきません。

流体解析にかかわる物理現象は、単に流体力学だけではありません。流体の中にも乱流、圧縮性、混相流など多岐にわたる詳細分野がありますし、化学反応、伝熱、相変化、材料力学、電磁気学、力学、音響、生物学、製品に対する工学知識、その他ありとあらゆる物理・化学・工学の基礎知識が必要になります。また、コンピュータ、解析手法、数値計算法、数学、ソフトウェア、プログラミング、語学など付随する必要知識は膨大です。

もちろん、解析テーマが限られていて決まり切った解析しかしないのであればそれでよいのですが、作ろうとする製品は日々高機能化を目指していますし、事業の多様化によって新しい製品を生み出さなければ企業は生き残れないのが現状です。当然新しい解析テーマも増えていきます。そうなると、解析担当者も常に新しい分野の知識を仕入れていかなくてはならず、さもなくば新しい解析をやってほしいと言われても「できません」で終わってしまいます。

引出しが多いと、やったこともない新しい解析テーマの依頼があっても、「ああ、アレとコレを組み合わせて、こうやって解けばできそう。」という発想が瞬時に浮かぶし、「この現象はこういう物理でなりたってそう。」というのも話を聞いただけで想像できたりします。

しかし、日々忙しい製造現場の皆さんは、とてもこんな引出しを増やす時間がないのが現実でしょう。でも引出しというのは自分の机に用意する必要はありません。引出しを多く持つCAE解析エンジニアを隣においておけばいいのです。新しい解析をやりたくなったら、すぐに膨大な引出しから解を探してくれるCAEコンサルタントを隣に置いておくだけで仕事は大きく進んでいきます。

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