CFDは本当に数値流体力学か?

CFDは、Computational Fluid Dynamics の略で、”数値流体力学”と訳される。

私が大学生のころ読んだ学術雑誌の中にCFDについて書かれた記事があった(残念ながら誰が書いたのか全く記憶がない)。
その当時は、まだコンピュータもソフトウェアの性能も今よりはるかに低く、CFD自体が企業などでようやく使われ始めたばかりのころだった。そんなときに、その記事はCFDのことをすでに皮肉たっぷりに、ただし的確にその本質を表現していた。

CFDとは、Coloring For Directors すなはち、”上司のためのお絵かき”という意味だと。

CFDはコンピュータで計算した結果をきれいに色付けし、格好よく絵にして提出すれば、上司は納得する。例えその結果がいい加減なものであっても、計算した本人がなぜそのような結果になったのか、そのきれいな色が何を意味しているのか理解していなくても。
CFDのエンジニアは単にきれいな絵を描くことだけで満足していないだろうか?受け取る側もきれいな絵に騙されてはいないだろうか?

私がその記事を読んだのは20年前だが、今でも全く変わっていないのではないだろうか。
CFDを”上司のためのお絵かき”から”数値流体力学”に近づけなければCFDの意味はない。

(それにしても、このホームページにはきれいな計算結果の絵が一つも無いなあ。上司のための無意味なお絵かきを載せていないだけなのか、私の芸術的センスが無いだけか。。。)

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