サポート力
CAE解析エンジニアのスキルについていろいろ書いてきましたが、今回お話しするサポート力も重要なスキルの一つです。
CAEコンサルタントやベンダーのサポート部隊だけでなく、企業のCAE担当者にもサポート力は必要です。顧客や依頼部署の人から質問を受けた内容について、的確に回答しなければならないことは多々あります。
サポート力が無い人を一番よく見かけるのは、CAEとは関係ないですが、ネットでよくある質問サイトです(基本無料のサービスなので目くじら立てることもないのですが、だめなサポートを知るにはよい媒体であったりします。)
質問サイトでは、ある人が何か質問したいことを書くと誰かがその質問に対する回答を書いてくれるというもの。その中で、この回答者はサポート力がないなと感じることがとても多いので、例をあげてみます。
・質問の意図を理解できない
結構多いのですが、質問者の意図を瞬時に理解できない回答者がいます。そういう回答者に限って「何を聞きたいのかわからない」と、質問者に逆ギレしている人を見かけます。一を聞いて十を知るということわざがありますが、質問に対してすぐに「この人の聞きたいことはこういうことね。」と理解する能力がある回答者は素晴らしいです。質問者はそのモノに関する知識や情報が不足しているため上手く質問できなかったり、メールなどで伝えられる情報量に限りがあったりして質問内容が断片的であったりします。経験豊富なサポーターは、少ない情報量でも質問者の聞きたいことを瞬時に把握できる能力に長けています。
・逆質問が多い
前の例に関係しますが、質問の意図を瞬時に理解しきれないため、逆に根ほり葉ほり質問の状況を逆質問している回答者を見かけます。もちろん的確な対応をするためには、詳細な状況をヒアリングするのは必要ですが、根ほり葉ほり関係ないようなことまで聞かれると質問者もうんざりしてしまいます。どうしても質問の意図がわからない場合、少ない逆質問量で内容を理解する能力が必要と言えるでしょう。
・回答者の知識が不足している
サポーターの経験が浅かったり知識が不足していると、そもそも的確な回答をすることができないのは当たり前です。特にCAEソフトウェアのように機能が多様化し解析できる分野が日々増加していると、自分が触ったこともない機能が出てくるのは仕方がないことかも知れません。本来であれば、実務においてそれらの新機能を使ってみて理解しておく必要があるのですが、どうしても知らない分野であればその場で適当な返答をせず、一旦持ち帰り十分調査した上で回答する心がけが重要です。
・専門的すぎる
逆に知識がありすぎる回答者にありがちなのですが、回答があまりに専門的すぎて何を言っているのかわからない場合があります。知識をひけらかしているだけの回答者も多いです。質問された時の状況(質問者のしゃべり方やメールの内容など)から質問者のレベルを判断し、そのレベルにあった言葉で回答する必要があります。
・回答がマニュアル的
回答があまりにマニュアル的すぎて役に立たないこともよくあります。質問する側からしても、「さすがに、それくらいは知っているんだけれど。。」と思うような、マニュアル的回答しかしないサポートも多いです。逆にある程度知識を持っている質問者からすると、マニュアルやヘルプに載っている内容しか回答してこないサポートは技術力がないとみなされてしまいます。
・質問者をバカにしている
最もダメな例ですが、質問している人を「そんなことも知らないのか」とバカにしている回答者がいます。基本的に回答者は質問者よりも知識があるという点で有利な立場にいます。それに優越感を抱いているのか、質問者に対して「そんなことも知らないのか」というニュアンスを込めて回答している人を見かけます。ソフトウェアのサポートなどではさすがにいないだろうと思われるかもしれませんが、意外とそう思っている回答者が多く、サポートの時のしゃべり方やメールの文章などに滲み出ていることがあったりします。質問者は知らないから質問をしてきているのに、誠実に回答しないで小馬鹿にしたような対応は最低のサポーターと言えるでしょう。
サポートは、知識や経験、コミュニケーション能力、判断力など意外と多くの能力を必要とします。有能なサポーターがついてくれるとかなり有益で仕事もうまく進みますが、ここにあげたような残念なサポートに当たると業務が滞ったり、不利益を被ったりすることさえあります。私も常にこのようなサポートになっていないか自問自答の毎日です。